オクルーザル パワーゾーン(咬合重心)
噛み合わせと全身症状については、近年、多くの研究報告がされ、特に、顎の関節は外耳 道に近いため、噛み癖が聴力に影響することが判明しました。
噛み合わせの重心 (咬合重心)と考えられている『オクルーザル パワーゾーン(上顎第二小臼歯、上顎第一大臼歯)』できちんと噛んでいる場合、聴力低下は生じにくいのですが、そこより後方、大臼歯部の咀嚼では低音域、前方部の第一小臼歯から前歯での咀嚼では高音域 の聴力低下が生じるのです。
なんらかの歯科疾患が存在する人に発生する咬合障害の症例では、右噛み、または左噛み の偏位咀嚼癖(ズレた噛み合わせ)が認められ、その際に注目すべきは、噛み合わせの強い 側に偏位咀嚼性(片側で噛む癖)があり、その側の聴力低下が診られます。さらに、噛み合わせの前方・後方における前後的顎運動時に発生する偏位咀嚼部位でも明らかな聴力低下が 確認されていますが、これらの聴力低下が、歯科治療による噛み合わせの改善と咀嚼指導に よって、著しく改善できることが明らかになっています。
オクルーザル パワーゾーン(咬合重心)は、東京歯科大学助教授中村昭二先生たちが提唱 したもので、閉口筋群(ロ筋、内側翼突筋、側頭筋)の合力上にあり、それは第二小臼歯から第一大臼歯部に相当し、もっとも生理的に咬合機能が発揮できる重心的な部位で、下顎が 安定する最小限の噛み合わせです。
噛み合わせの治療では、最低限、オクルーザル パ ワーゾ ーン域まで噛めるようにします。そうすることにより、難聴、顎関節の開口障害、片頭痛、 頚椎ヘの過重負担、スポーツ運動能力などを改善することができます。
偏位咀嚼とは、歯の欠損や歯列不正、不良な治療(不良補綴物)、虫歯、歯周病などによって咀嚼が困難な場合に、代償的に噛める場所をさがして噛むようになり、当たってはいけない歯の当たり(咬頭干渉)を発生させることです。
そうなると、歯根膜を通じて神経や筋を刺激して痛みが生じますので、無意識のうちにこれを避ける指令が大脳より出されます。それによっ て特定の筋肉が疲労して顎の位置がズレ、やがて頭位が傾斜し、姿勢の乱れが生じます。 姿勢の乱れはやがて脊椎のゆがみを起こして、頭痛、肩凝り、内臓の不調などの諸症状につながります。逆に、噛み合わせを正常にするだけでその症状が改善することもあります。
このように微妙な噛み合わせのポイントとなるのが、『咬合重心』なのです。