顎関節の原理
顎関節が複雑な動きをすることは前述した通りですが、基本的には「テコの原理」と同じように、弱い力で硬いものを噛み砕きます。
食物を食べるときにどれくらいの力が必要なのかを研究している栄養学校などによると、肉類で2~3kg、硬いものでは梅干しの種で5kgとなっています。最大で50kg以上の大きな力が作用する顎関節はテコの力を巧みに利用しているのです。テコの原理は、動きを支える支点、力が加わる力点、そし て、加わった力が作用する作用点から成り立ち、その位置関係によって、テコの原理は1級から3級までに分類されます。
1級テコは、たとえば洋バサミのようなものです。刃の部分が作用点で、持つところが力点、刃が交わるところが支点になっています。1級テコの特徴は、力点と作用点が離れていることにあり、支点に強い力がかかります。
2級テコは、証明写真などを切るときに使うカッターを考えていただくとわかりやすいでしょう。取っ手の部分が力点で、刃の部分が作用点、刃の根元が支点になっています。1級テコと同様に、力点と作用点が離れたところにあり、支点に強い力がかかります。
3級テコは、和バサミのようなものです。和パサミは1・2級テコと違って力点と作用点が近いところにあり、支点にそれほど力がかからないことが、大きな特徴です。
顎関節は、3級テコと同じ原理になっています。上下の歯が噛み合う歯並びのところが作用点であり、その周りの筋肉(咬筋)が力点、顎関節が支点です。3三級テコと同じように力点と作用点が近いために支点に大きな力がかからないので、顎関節への負担が軽くて壊れにくい、非常に合理的なつくりになっているのです。